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設立のことば 沖縄手ぬ花 食と工芸 真南風

交易する沖縄・食の自給自立

沖縄の生産者は自然災害のたびに多大な被害、人口流出の試練に耐え、また砂糖キビのモノカルチャーに抗して数々の生産を試行されておりますが、長年の、そして最大の課題は「安定した流通」にあります。

生産者と私たち双方共に顔を合わせ、沖縄の気象条件をはじめ、いくつもの関門を想定しながら、何をどのように生産していただくのか、一つの心となって取り組みを重ねてゆくことから始めたいと思います。

もとより私どもにその力が備わっているのではありません。ひとえに皆様方のお力添えをお頼み申し上げ、支えていただきながら「真南風」の仕事の大きな柱にさせていただきたいと存じます。

安定した信頼できる流通が確保されれば、生産品目も生産者の年齢の幅も広がりましょう。私たちは沖縄の恵み、健やかな食べ物を求めて、これからも多くの生産者の方々と出会い、共に知恵・工夫・経験を練って可能な限り島嶼生態系を傷めない生産体系を確立し、多くの人々に受け入れられていただけるよう努力をいたします。

「島は小さくとも美において大いなる島」(柳宋悦氏)と讃えられた、島の華であり、宝である工芸。数々の手の技、暮らしの中から生まれた堂々たる美「手ぬ花(ティヌパナ)」。島の工芸・民芸の底に鎮もっているのは民族の息づかいであり、魂の語り部の声そのものなのです。 観光化のために万一にもその精(シイ)が衰えてゆくことがあってはならないことです。この分野におきましても私どもにできることを問いつつ、非力もかえりみず手も足も働かそうと思っております。

交易する沖縄・食の自給自立

「豊かなアジア・貧しい日本」ともいわれております。日本への復帰はその「貧しい日本」への従属化だったのでしょうか。
「豊かなアジア」としての暮らしは、武器なく飢えなく長命を寿ぐ交易立国としての沖縄の歴史に花咲いておりました。

復帰後、沖縄の視界は一気に世界大に拡がりました。自給・自立経済に向けた不断の努力も続けられております。何にもまして日本を冷静に視る眼力が生まれました。社会破壊・環境破壊としての復帰を経験した沖縄が、この眼力をもって「沖縄発」としてアジアや世界に送るものが、たとえば循環する交易であり、貧しく虐げられた国々の民衆に対する共感・共生の援助のプログラムであってほしいと願いは募ります。日本に住む私たちがそのパートナーとしての自己形成してゆくことは尚大切なことでしょう。

沖縄が世界に向けて発信する「島の叡知」の中にこそ、さし迫る21世紀を生きる人々に継承すべき、普遍の風土の象(かたち)が埋めこまれているのではないでしょうか。

「夢の力」を信じて、真南風の仕事を始めたいと思います。

「真南風」が島からいただくものは、熱帯果樹、在来の果樹・野菜、海・山の加工品、島酒(あわもり)、工芸品などですが、これらは島々からの貴い"寄い物(ゆいむん)"でございます。 

願わくば、食べごしらえの素材を通して、沖縄の食の文化・風土・歴史のみならず、「島宇宙」と呼ばれる、島それ自身の内的生命体に触れ得ることができるような仕事になりますように。

どうぞ「真南風」に皆様のお志とご縁を重ねていただきまして、お力添えを賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

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