石垣島の広い空の下、大人も子どもも素足になって、ぬるっとした感触を確かめながら、いざ、田んぼへ「お邪魔します!」
すると目の前に飛び込んでくる、縦横無尽に泳ぎ回る昆虫や活発な虫達の無数のいのち。普段何気なく口にしているお米の後ろに広がっている小宇宙を身体いっぱいに感じるフィールドワーク、それが真南風の「田んぼの生きもの調査」です。舞台となるのは生き物との共生をモットーに、先祖代々の米作りに取り組む仲新城淳(なかあらしろじゅん)さんの田んぼ。石垣島の原始の森「名蔵アンパル」そばに広がる豊かな環境で、2007年秋にスタートした取り組みです。
カエル、ゲンゴロウ、オケラ、カニ…。田んぼはお米を作る場所であると同時に、多くの生きものの棲み家でもありました。けれど近年、農薬や汚水などの影響で田んぼ周りの生きもの達は少なくなり、その豊かな生態系が徐々に失われつつあります。
昔ながらの農法を守る仲新城さんの田んぼでは、土を耕すイトミミズやユスリカが活躍し、生きものたちはとても元気!本土ではほとんどみられない絶滅危惧種のデンジソウが生い茂り、水質も極めて良好です。「田んぼと生き物が互いに上手に生きて行く」それが仲新城家の伝統。そのためにひとつひとつ地道に手をかけて、豊かな田んぼを未来につなげています。
私たちは、自然を大切にしながら作物を作る農家を支援することが、小さな生き物たちが集う豊かな環境を守ることにつながると考えています。単に食べ物が安全安心というだけでなく、環境を保全する農家の姿勢に対してお金を払う。そんな時代がやってきているのではないでしょうか。真南風では、「食」の後ろにあるものを多くの方と楽しみながら共有できればと願っています。
石垣島の西岸、名蔵川の河口部に広がる、マングローブ林の茂る湿地帯。ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録される、希少な生物・鳥たちの楽園です。
▲名蔵川河口部の湿地帯「名蔵アンパル」のそばに広がる仲新城さんの田んぼ。