▼さしばファームのメンバー伊志嶺親子とともに
宮古島の西部20kmにぽっかり浮かぶ伊良部島。周囲を無数のダイビングポイントに囲まれた豊かな地にさしばファームのかぼちゃ畑は広がっています。分厚い葉が太陽に向かって大きく広がり、実も大きく上等。「農業は本当に楽しいよ。手をかければちゃんと応えてくれるから」ニカッと笑う下地さん。20歳代の若者から70歳代のベテランまで、「さしば」のメンバーは強者揃い。普段は寡黙ですが皆かぼちゃへの想いは熱く、より美味しいかぼちゃを目指して日々知恵を絞っています。
手作り酵素やアミノ酸を活用し、化学肥料は県の栽培基準の半分以下に抑えた「さしば」のかぼちゃは元気そのもので味も抜群。評判が評判を呼び、グループ結成からわずか5年余りで引く手あまたの人気者となりました。現在、皆フル回転でかぼちゃを作っても生産が追いつかず、嬉しい悲鳴を上げています。
「さしば」は本土から南へ渡る渡り鳥の名に由来しています。10月、北風(ミーニシ)が吹き始め、伊良部島にさしばが渡ってくる頃、かぼちゃの種まきが始まります。
現在、週に一度、手作り酵素を葉に与えるという鉄則を守れば新規就農者でもまず失敗はないというところまで「さしば」の農法は確立されています。気象や土などの条件が畑ごとに違う中、栽培のノウハウを体系立てて人に伝えるのは至難の業。それゆえ殆どが「一匹狼」の有機の世界でチームワークを発揮している「さしば」は異色の存在です。
伊良部島には実は牛がおらず、有機農業に不可欠な堆肥がなかなか手に入りません。「堆肥で土を肥やすことが難しいなら、葉っぱから根っこに栄養を送り込んではどうか。」同じく真南風生産者である下地さんの古い友人・渡真利さんの一言がヒントになりました。冬でも温かな気候の元、次々に顔を出す新芽は酵素作りの材料にもってこいです。
手作り酵素に加え、現在はソルゴーという植物を活用した「土ごと発酵」にも取り組み、肥料と水を土の中に保つ工夫をしています。亜熱帯の伊良部島ではソルゴーの背丈はたった2ヶ月半で3mに育ちます。それをカットしてまた植えて、年3・4回鋤きこむと、作物の色や身のつきが違ってきます。また、風除けの存在が作物の出来を大きく左右することがメンバーの実験から明らかになりました。風除けとしてもソルゴーは重宝しています。