ピーマン 生産者紹介

水への想いが呼び寄せた一つの出会い

島の子ども達に水事情をどう伝えるか。悩みに悩んで、ようやく言葉が見つかった

水問題に奮闘する渡真利さんに、心励まされる一つの出会いがありました。宮古の水事情を伝える地下ダム資料館の元ガイド・川満真理子さんもまた、化学肥料による地下水汚染をどう捉えて来館者に伝えればいいのか、在職中に自問自答を繰り返していたのです。

「ある時、島の小学生にガイドする機会がありました。宮古は農業が盛んで、家に畑のある子も沢山います。子ども達に水を守ろうと伝えたいけれど、『だからオバアたちがやってるように化学肥料を使ってはいけません。』とはどうしても言えなかった。悩みに悩んで、本番直前にようやく言葉がまとまりました。『皆に食べさせるためには、化学肥料を使って生産性を上げることも必要だった。オバアたちのやってきたことは間違ってない。ただ、今は島の環境が変わって、水がちょっと危ないかなという状態になってきてる。だからみんな自分が出来ることをまず一つ、やってみたらどうかな』と投げかけたんです」。

この時真理子さんは、以前から交流のあった渡真利さんに、子ども達にどんな言葉で伝えようか何度も相談をしたと言います。「『宮古の水を守りたい』と言っても、実際にはなかなか難しいもの。でも渡真利さんは現実としっかり向き合って一生懸命。これだけ話し合える人がいるなんてと驚きました。」と真理子さん。意気投合した二人は、やがて大切なパートナーとなりました。

えぐみと無縁の野菜たちに感動

今では真理子さんも畑仕事に力を注ぎ、ガイドの仕事は指名があった時だけにセーブして、公私共に、渡真利さんを支えています。渡真利さんの野菜もまた、印象深いと真理子さん。「私は料理上手ではないけど、渡真利さんの野菜を使って料理をすると、美味しいと皆に褒められます。最近は、素材を生かせるよう、さっと塩ゆでや油で揚げただけの料理が中心になりました。同じ野菜でも、味が他とは全然違いますね。」

渡真利さんの野菜は、ピーマンでも生でかじると甘みがジュワッと口の中に広がり、果実のような美味しさがあります。「うちの野菜は化成肥料を使わない分えぐみがないからかな。ピーマン嫌いの子もよく食べてくれますよ。」と笑顔の渡真利さん。

仲間想いの渡真利さんの元には、夕方になると農家仲間が一人また一人と集まって来ます。満天の星と海を見ながら仲間と夢を語り合うひとときが、渡真利さんのエネルギーの源です。

地下ダム資料館にて
地下ダム資料館にて来館者を案内する真理子さん。
地下ダム資料館の止水壁
地下ダム資料館の止水壁。その優れた構造が紹介されている。
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